小学校受験と「折り紙遊び」
実は、折り紙遊びは、小学校受験に役立ちます。
日本の伝統文化を代表する「折り紙」は、今でも子どもから大人まで楽しめる遊びの一つです。
「折り紙」で遊んだ経験がないお子さんはいないと言っても過言ではありませんし、お子さんと一緒に「紙ひこうき」「かぶと」「つる」などを折った経験を持つお父さんやお母さんも多いと思います。
そんな「折り紙」ですが、脳の発達を促す遊びであることをご存知でしょうか。指先には末梢神経が集中しているので、動かすことで脳の発達を促す刺激が生まれます。そのため、ただ単に遊ぶだけでも有効ですが、遊ぶ時に少し意図を持たせるだけで、お子さんの能力が伸びていきます。
折り紙で遊ぶ時には
■ まずは、二つに折りましょう
お子さんの手はまだ小さいこともあり、最初から上手に折ることは難しいものです。お子さんが初めて「折り紙」で遊ぶ際は、いきなり「これを作ろう」と何かを作ることを目指して取り掛かるのではなく、まずは「紙を二つに折る」ことから始めましょう。
「紙を二つに折る」というだけでも、折る場所によって様々な形がつくれるものです。「ちゃんと折れたね!」「この形は何に見える?」といったコミュニケーションをとることで、お子さんの思考力・想像力を育むことにもつながります。
最初のうちはきれいに折れなくても、問題ありません。何度も何度も紙を折っているうちに、次第に折り紙の角と角を合わせてきっちり折ることができるようになっていきます。
■ 折るだけでなく、ちぎったり、丸めたりしましょう
「折り紙」と言えば「折る」ことだけを思い浮かべがちですが、紙は紙ですので、ちぎったり丸めたりしても構いません。
指先を使う「ちぎる」という動きでも、使う指は親指と人差し指だけなのか、中指なども使うのか。手のひらを使う「丸める」という動きでも、使うのは片手か両手か、握る感じで丸めるのかふわっと丸めるのか、それとも筒状にするのか…など、様々な指や手の動きをすることになります。
また、ちぎったり丸めたりすることで紙は直線的ではない形になるため、手触りや音が変わったり、「形を作る」以外の遊び方が生まれたりするなど、五感や想像力に与える刺激にバリエーションが生まれます。なお、くぼたのうけん小学校受験コースでは、育脳の観点に立ち、人差し指が一番前頭前野に刺激を与えるということから、ちぎる時には、親指と人差し指を使うようにしています。
■ ひとりでやらせるのではなく、一緒に楽しみましょう
「知育=子どもの能力を伸ばす」という観点からみれば、思考力・想像力を養う「折り紙」をお子さんがひとりで遊べば良いように思われがちです。しかし、ぜひともお父さん・お母さんも一緒に遊んであげてほしいと思います。
子どもには、「自分がやっていることをお父さんやお母さんに見てもらいたい!」という承認欲求があります。お子さんが「折り紙」で遊んでいる姿をちゃんと見て、お子さんの反応や出来上がった作品に対して、具体的かつポジティブな声掛けをしてあげてください。「自分のことをちゃんと見てくれている」と安心したお子さんは承認欲求が満たされ、自己肯定感も伸びていきます。
お父さん・お母さんも一緒になってお子さんと遊んであげられると、さらに良いです。遊ぶ主体はあくまでもお子さんであることを意識しつつ、折る見本を見せてあげたり、楽しく遊ぶ姿を見せてあげたりすることで、お子さんは「折り紙」に対して積極的になることができます。
ただ、必要以上に「こうやるんだよ」と教えたり、「なんでそうやっちゃうの」とお子さんを注意したりするような言葉は控えめにしてください。大人の目から見れば気になる点は多いかもしれませんが、決まった形を作るほかに自由な発想で主体的に遊べるところに「折り紙」の楽しさはあります。お子さんの主体性を尊重するコミュニケーションをしてあげましょう。
小学校受験では「巧緻性」をチェックする問題が出題されます
「巧緻性」とは手先や指先の器用さを意味する言葉で、運動神経・リズム感などにも関係する能力です。小学校受験では、「ハサミを使って工作する」「ひもを結ぶ」といった問題が出題されることがありますが、これがまさに「巧緻性」をチェックする問題となっています。「第二の脳」と言われる手や指を上手に使って形を作っていく「折り紙」は、この「巧緻性」トレーニングにうってつけであると言えます。折り紙以外では、紐通しやシール遊びも役立つ遊びです。紙を目で見て、距離感や奥行き・向きなどを意識して折ることが必要な「折り紙」は、「空間認知能力」を養うことができる手軽な遊びです。
その他、「思考力」「想像力」はもちろん、時間をかけて作品を作ることから「集中力」「忍耐力」、見本を記憶して手元の紙を折ることにより「一時記憶(ワーキングメモリ)」などにも、「折り紙」は有効であると言われています。
日本の伝統文化である「折り紙」は、お子さんの育脳や知育の点でも効果的な遊びです。普通に遊ぶだけでもお子さんの能力向上に有効ですが、遊び方や声掛けの仕方を意識するだけで、その効果をさらに伸ばすことができます。特に小学校受験を考えているご家庭では、お子さんとのコミュニケーションにぜひ「折り紙」を取り入れてみてください。ただ、「巧緻性」を伸ばすのは時間がかかりますので、無理に教え込んだり注意したりするのではなく、「折り紙」はあくまでも「遊び」と考え、「お父さん・お母さんと一緒に遊ぼう!」という気持ちで、繰り返し、楽しく取り組んでください。