小学校受験の学校説明会に参加したら
教育熱の高まりで注目を集めている小学校受験ですが、独自の教育方針への関心や、オンライン対応の差などにより、私立小学校の志願者が増加傾向にあります。小学校受験の合計志願者数は、首都圏で志願者数を公表している学校だけでも前年度より増加したという結果もみられます。未就学児のお子さんをお持ちの保護者の皆さんの中にも、小学校受験にご興味をお持ちの方は多いのではないでしょうか。
ただ、最初から「絶対にこの学校に行かせたい」と志望校が明確に決まっている方は多くありません。どんなご家庭でも、数ある小学校の中でどのように受験校を選んだら良いのか、どこかのタイミングで必ず頭を悩ませることになります。
その大きなヒントとなるのが、各学校で実施している「学校説明会」です。パンフレットやHPの文章・写真だけでは分かりづらい細かい説明や実際の雰囲気などを、直接知ることができる貴重な機会です。
実施内容は各学校でそれぞれ異なりますが、概して「学校紹介」「進路指導についての説明」「入試に関する説明」が行われ、学校によっては説明会後に個別相談が設定されている場合もあります。
■ 学校紹介
「学校紹介」では、学校の歴史や教育・指導方針、カリキュラムの特徴などについて説明されます。
もちろん、パンフレットやHPでもこれらの説明は掲載されています。ただ、どうしても紙面の都合などでその説明は大まかなものにならざるを得ず、複数の学校の資料を見比べれば見比べるほど「似ている」と感じてしまい、判断するのが難しくなることもあります。しかし説明会では、パンフレットやHPには書かれていないような具体的な指導例・成果などについて話をしてくれたり、教育方針・指導方針や求める生徒像などについて詳細な説明をしてくれたりします。大事なことは必ずメモをしておくようにしましょう。
小学校受験では、面接を課されている学校も多く、その大半は親子面接や保護者面接になります。また出願書類には、お子さんの長所・短所だけでなく志望理由も聞かれます。登壇者の説明を全て書き留める必要はありませんが、「口頭でのみ説明された情報」「ここが良いと共感した部分」「校長先生や他の先生の雰囲気」など、資料には書かれていないことは、後から見返しても分かるように意識的・具体的にメモしておきたいところです。
■ 進路指導
私立小学校の多くは、付属の中学・高校がありますが、だからと言って「小学校に入ってしまえば後は何もしなくても良い」とは限りません。学校によっては、小学校は共学だが中学校は女子校であるといったケースや、大学まで併設されているのに高校卒業時の進学先は外部の学校の方が多いといったケース、さらに付属校進学に定員枠があって全員が進学できるわけではないというケースもあります。これらはパンフレットやHPにも書かれていることもありますが、学校説明会では最新の進学状況や詳細な内容について話をしてもらえます。
■ 入試関係
入学希望者に向けて行われる説明会なので、入学試験についても説明があるはずです。説明会の開催時期によって内容の詳しさが変わってくる可能性はあるものの、基本的に日程・出願条件など募集要項の説明が行われます。
学校によっては、「こういうお子様を育てたい」という指導方針に絡めて、「こういうお子様に出願してほしい」「こういう問題でこのようなポイントをチェックする」という、踏み込んだところまで話をしてくれるところもあります。それさえできれば合格が決まるというわけではありませんが、逆に言えば、そのようなポイントをクリアしていることが合格への最低条件ということになります。
また、学校説明会の後に個別相談が実施される学校もあります。説明会では言及された内容での疑問点を質問することも可能ですが、時間が限られていることも多く、その場で聞きたいことを考えるのも難しいと思います。個別相談実施の有無に関わらず、事前にご両親で質問したいことをいくつかまとめておくと良いでしょう。事前に考えていた質問に対して説明会で答えが得られることもあるでしょうし、それ以外に残った疑問に優先順位を付けて個別相談で質問するようにしましょう。あらかじめ質問を考えておければ、聞き忘れを防げます。
■ 通学について
学校説明会の会場が小学校とは別の場所になるケースもありますが、もし実際に通う小学校が会場となっている場合は、家から学校までのルート確認も行いましょう。電車の混み具合、駅の乗り換えルートや時間のかかり方、学校近辺の安全面などはよく見ておくようにしてください。その際、「実際に通学するのはお子様である」という視点での確認が重要です。説明会が行われる時間帯と、お子様が通学する時間帯は違うことが殆どです。特に都市部での電車通学の場合は、朝の通勤・通学ラッシュを想定する必要があります。最終的にお子様が一人で学校まで往復できるか、実際に通学する想定をしながら参加するようにしましょう。
■ 学校公開・授業見学
学校説明会以外に学校公開・授業見学を実施している場合には、ぜひ参加してください。施設・設備を見るだけでなく、実際に通っている生徒たちを見ることで、その学校が求めている生徒像や、実際にどのような生徒に育っているのかを確認することができます。また、先生方が実際にどのような指導をしてくれているか、そして先生と生徒との距離感なども掴むことができます。
ぜひ、気になる学校については説明会に参加していただき、各学校の教育方針とご家庭の子育て方針が一致する学校を見つけていただきたいと思います。説明会の多くは5月前後と9月にありますので、開催日程はよく確認しておきましょう。